夏におもう紅葉のはなし

夏におもう紅葉のはなし

緩やかな川が流れる対岸の山の麓に神社があって

いつも通学路から その風景を眺めてた

そんなに楽しく学校に行っていたわけではないのだけれど

大人になったある秋の日に

紅葉の名所って日本中にたくさんあるけれど

どこよりも その神社の燃えるような赤いモミジが美しいなと 長いこと考えていて

はたと気づいた

あぁ、場所じゃなかったんだ…

毎日毎日 同じ時間に同じ道を歩き

春夏秋冬の四季を身体で感じてた

私の脳裏に刻まれている

燃えるような真っ赤なモミジたちは

ある秋の日の もっとも輝きを増した

その儚い瞬間を 私に見せてくれてたんだと

平凡な日々の時間の中に

私の宝物のような風景は眠ってた

かけがえのない時間が過去となったころに気づいた物語

また今年も秋がくる